安倍首相は皇室の御安泰を保つべく全力を尽くせ

『国体文化』(平成25年9月号)巻頭言

野田政権下において検討が進められてきた「女性宮家」創設に対して、安倍首相が白紙撤回の方針を示したのは二月八日のことであつた。安倍首相は「もう一度じつくりと見直しをしていかねばならない」とも述べたが、それから既に半年あまりが経過してゐる。七月の参議院議員選挙により「ねぢれ国会」が解消されて政局も安定した以上、「じつくり見直す」環境は整つたはずだ。

天皇陛下の御親族である皇族の減少は皇室の衰微を招きかねない。現に、寛仁親王殿下の薨去に伴つて、殿下を当主とする寛仁親王家が廃止された。現行の皇室典範においては、未婚の皇族女子が皇族以外の男子と婚姻された場合は皇族の身分を離れるとされてをり、このまゝ悠仁親王以外に皇族がゐらつしやらなくなる事態さへ想定される。旧皇族の末裔に皇籍を付与するにせよ、女性宮家を認めるにせよ、あるいは第三の道を探るにせよ、皇位継承の在り方とも関はる重要な問題であり、慎重な検討を要することは確かだが、時間的な制約もあるので安倍首相は大まかでも良いから早急に方針を定める必要があらう。

昨今、皇室の将来について無責任かつ不遜な論説が横行してゐる。とりわけ悪辣な『週刊新潮』に対しては宮内庁も抗議文を発表してゐるが、宮内庁幹部の匿名コメントなるものが垂れ流されたまゝでは何ら説得力を持たない。本来であれば、宮内庁が自発的に内部調査を行ひ、皇室の尊厳を犯すが如き言動をした職員が存在したならば厳正処分すべきである。もし、宮内庁が自浄能力を持たぬといふのであれば、現行の法制度において宮内庁の上部機関とされる内閣府、ひいては内閣府の長たる安倍首相が職権を以て宮内庁の闇にメスを入れるべきだ。

金子宗徳(かねこ・むねのり)里見日本文化学研究所主任研究員

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