中共の覇権主義と対峙し、アジアの恒久平和に貢献せよ

「国体文化」平成25年8月号 巻頭言

中共の覇権主義は止まるところを知らない。尖閣諸島周辺の領海における侵犯行為は云ふまでもなく、東支那海において新たな天然ガス採掘施設の建設を始めたり、沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域において日本側の承諾のないまゝ海洋調査を行つたりと我が国の主権を無視し続けてゐる。

野田佳彦内閣が尖閣諸島の国有化を行つたことに対し、中共側は「中国人民は、世界反ファシスト戦争の勝利に大きな犠牲を払ひ、多大な貢献をした。敗戦国が戦勝国の領土を不法占拠する道理がどこにあるのか。尖閣諸島問題での日本の行動は、国連憲章の目的と原則を踏みにぢるものだ。日本の軍国主義の侵略の歴史について本質的な反省と清算をせず、反ファシスト戦争の勝利の成果を否定しようとしてゐる」〔秦剛・外務省報道局長〕として首脳間対話を一方的に打ち切り、「領有権を巡る争ひが存在すること」、「過去において日中両国が領有権問題を棚上げにしたこと」、「領有権を巡る交渉に応ずること」を対話再開の条件としてゐるけれども、かうした中共側の主張は手垢のついた人民戦線史観によつて自らの領土的野心を糊塗するものに過ぎぬ。

数年来、労働者の賃金上昇に伴ひ支那は生産地としての優位性を失つた。また、バブル経済崩壊の可能性が高まるなど市場としての存在感も揺らぎつゝある。理義を枉げてまで関係を改善する理由は何一つなく、我が国としては、無条件で対話を再開するよう求めるとゝもに、中共の軍事的圧力に苦しむ諸国家あるひは中共の内部でアイデンティティを奪はれつゝある諸民族との連帯を通じ、その膨張を食ひ止めてアジアの恒久平和に貢献すべきである。

金子宗徳(かねこ・むねのり)里見日本文化学研究所主任研究員

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