「尊皇絶対平和」と「ヌミノーゼ」 ― 民族文化研究会関西地区研究会〔5月23日〕

5月23日(土)午後、民族文化研究会関西地区第24回定例研究会が開催された。今回の定例研究会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、Zoom(ウェブ会議アプリ)を使用し、オンライン上で開催された。

報告者は半木糺氏と湯原静雄氏。

まず、半木氏が、「尊皇絶対平和とは何か ― 河内正臣の思想」と題し、「愛国的平和運動」を標榜する右翼活動家・河内正臣の主張を概観した。河内は、昭和50年代から、現行憲法における平和主義は天皇の大御心に即したものであり、日本人はこうした尊皇的な平和主義の実現に向けて努力しなければならないと主張している。半木氏は、現在の左派陣営が、従来は否定的だった皇室制度を容認した上で、平和主義をはじめとした自身の主張を行うようになったと指摘し、こうした天皇を媒介に左右のイデオロギーを架橋する傾向の先駆的事例として、河内の主張を位置付けることができると結論づけた。

続いて、湯原氏が、「近世期における神道神学の展開 ― 中野裕三『国学者の神信仰』を読む(第二回)」と題し、中野裕三『国学者の神信仰』を精読することで、国学者の神道思想の現代的意義を検討した。前回は序論を紹介したが、今回は第一編「本居宣長の神信仰」を検討する。この章には、ルドルフ・オットーの「ヌミノーゼ」概念と宣長の神格の定義を、「信仰者が崇拝対象に対して抱く宗教感情に基づいた神格の定義」という点で共通しているとして、両者を比較検討する論文と、宣長の宗教意識を、多神教的な「自然宗教的信仰」と一神教的な「敬虔的信仰」に二分する村岡典嗣の宣長解釈を批判する論文が収録されている。本報告では、これらの議論の内容を紹介しつつ、神道神学における意義を考察した。

その後、里見岸雄『討論天皇』を輪読した。〔湯原静雄〕

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