1月18日午後、ハロー貸会議室茅場町駅前にて昭和12年学会公開研究会が開催され、宮田昌明氏〔文学博士(京都大学)・里見日本文化学研究所客員研究員〕が「近衛内閣と支那事変」と題して講演した。
宮田氏は、近衛内閣の内閣人事や対中政策での無定見さを批判されながら、戦時体制へ向かう総動員体制の中で、産業組合法(1900)、健康保険法(1922)〔→国民健康保険法(1938)〕、厚生省設置(1938)など、国民の福利厚生が充実していった過程を「コーポラティズム(共同主義)」という政治学の概念を用いながら説明。コーポラティズムは「支那事変の日本側原因を生み出すが、戦時下においては動員機能を果た」すことなく、「地方行政や民間諸団体への依存拡大」を招いたと、その効用と限界を指摘する。
宮田先生の講演後に倉山満事務局長より、「天皇制ファシズムによる『侵略』」や「俗に言う『上意(内閣・軍)下達(民間)』や官尊民卑」を巡る問題が提示された。
質疑応答では様々な視点からの質問がなされたけれども、近衛内閣の無定見さに切り込む質問が目立った。〔田口仁〕