2月16日午後、ハロー貸会議室神保町(東京都千代田区)で昭和12年学会第2回公開研究会が開催された。
今回の登壇者は城西大学准教授の小野義典氏と大月短期大学名誉教授の小山常実氏。
小野氏の演題は、「支那事変の国際法的考察」。戦前の国際法学者である立作太郎の著書『戰時國際法論』、『支那事變國際法論』を引用し、国際法において、支那事変(日中戦争)をどのように位置づけるべきかを解説。小野氏は、国際法における「クリティカル・デート」の概念を用いることで支那事変が「戦争」ではなく「事実上の戦争」、「事変」であると結論付けた。
続く小山氏の演題は、「戦時国際法の『交戦者資格』と日中戦争期の中国軍」。小山氏は、小野氏も用いた立作太郎の著作に加え、同じく戦前期の国際法学者・信夫淳平の『戦時国際法講義』を参照し、国民党軍、共産党軍、軍閥軍のいずれもが国際法上の交戦者、捕虜の資格を欠いていることを指摘した。昭和12年の通州事件における支那軍の行為が交戦者資格を否定するものの一例であるとし、あらためてどのような残虐で戦時法規違反の行いがあったか解説がなされた。
両氏の講演後は、学会事務局長の倉山満氏をコーディネーターとし、小野・小山氏の討論を実施。「支那事変」か「日中戦争」かという呼称の問題に始まり、昭和12年から20年までの一連の戦闘を戦時国際法で解釈するか積極的に議論がなされた。見解が異なる部分については積極的に議論を交わし、真実を追求するという同学会の姿勢が見える討論となった。