1月19日午後、ハロー貸会議室神保町(東京都千代田区)で昭和12年学会第1回公開研究会が開催された。
この研究会は、昨年11月に同学会が開催した研究発表大会の内容を掘り下げるもので、1月より月に1度、計5回の開催が予定されている。
第1回目の今回、登壇したのは郵便学者の内藤陽介氏と情報史研究家の柏原竜一氏。
内藤氏の演題は「昭和切手の発行」。昭和12年、この年から我が国では大正時代から使用されていた切手の図案が改められ、後に「昭和切手」と呼ばれる「世界に冠たる神国・日本」をテーマとした切手の発行が始まった。内藤氏の講演は、満洲国の建国や紀元二千六百年といった昭和十二年以前の昭和の我が国の社会状況の説明から始まり、「戦争の時代」を象徴するものとなった昭和切手誕生の経緯と意義を解き明かすものとなった。
柏原竜一氏の演題は「一九三七年のインテリジェンス」。昭和12年と言えば我が国が陸軍中野学校の創設を決めた年であるが、柏原氏は、日本だけでなく、同時代のフランスやアメリカのインテリジェンスについて解説。三国の比較を通して、日本のインテリジェンスの欠陥を明らかにした。
それぞれの講演後には積極的な質疑応答も交わされ、参加者の関心の高さが窺われた。〔H・K〕