「革命」は現在進行形である ― 東京でフランス革命を見直す国際シンポジウム〔7月13日・14日〕

フランス革命の契機となったバスチーユ牢獄襲撃から230年の節目に合わせ、7月13日・14日の2日間にわたり、王権学会とファティマの聖母の会の主催によるフランス革命を見直す国際学会が東京都新宿区の麗澤大学東京研究センターで開催された。

第1日目の7月13日午前、まず最初に、ピオ10世会の小野田圭志神父が挨拶。『旧約聖書』には神の創造された自然の秩序を否定するよう蛇がアダムとイヴとを唆したという物語が記されているけれども、「革命」は正にその反復である。今や、そうした動きは今や家庭にまで及んでおり、改めて「革命」の悪を語らねばならないと開催の趣意を述べた。

続いて、日仏の研究者が登壇し、フランス革命の批判的検討と伝統主義・君主主義の再評価論を基軸とした研究報告が行われた。

まず最初に、川上洋平氏〔専修大学准教授〕が、「ジョゼフ・ド・メーストルの反革命論:政治と宗教の間に」と題し、カトリシズムに立脚した革命批判を主唱した思想家として知られるメーストルの政治理論、宗教理論を、反革命論、権力論、宗教論の三つの視座から概観した。

続いて、平坂純一氏〔批評家〕が、「日本における明治時代以降のフランス革命の受容」と題し、日本近代史の歴史的展開を振り返りつつ、そこに伏在する大衆化、市場化、中央集権化といった伝統を破壊する「革命性」を剔出し、批判を加えた。

午後に入り、ポール・ド・ラクビビエ Paul de Lacvivier 氏〔里見日本文化学研究所特別研究員・國學院大学博士後期課程〕が、「革命裁判と国王・王妃の裁判」と題し、革命の際に行われた国王・王妃の裁判を概観し、その手続上の問題性を指摘した。

そして、フィリップ・ピショー Philippe Pichot 氏〔仏ブレスト大学教授〕の「1789年7月14日と1790年7月14日」と題し、フランス革命のメルクマールとなったバスチーユ襲撃を糸口に、フランス革命全体の性格を考察するフランス語の動画が上映された。

さらに、アン・ベルネ Anne Bernet 氏〔歴史家〕の「1792-1814 フクロウ党員の諸抵抗 忠誠と帰依の戦争」と題し、ヴァンデ戦争と並ぶ反革命武装蜂起にも関わらず、農民を当事者としてゲリラ戦的に展開されたため、あまり光が当たってこなかったフクロウ党について紹介するフランス語の動画が上映された。

最後に、マリアン・シゴー Marion Sigaut 氏〔歴史家〕の「国民の名によって」と題し、フランス革命の正当化原理だった国民概念の欺瞞性を、フランス革命の歴史的展開を概観することによって明らかにするフランス語の動画が上映された。

14日の午後から始まった2日目は、ジェーソン・モーガンJason Morgan氏〔麗澤大学准教授〕の「合衆国の独立。独立の前の革命?」と題する講演から始まった。日本語で話した内容を自ら通訳するというスタイルで、現代アメリカの精神的頽廃が独立宣言を起草したジェファーソンの自然法思想に端を発していることを指摘した。

続いて、アメリカから来日したマイケル・マットMichel Matt氏〔《The Remnant》編集長〕が「ヴァンデ地方のカトリック信徒たち:生まれつつある新世界秩序に反対する最初の答え」と題して英語で講演を行い、信仰と国王のために闘ったヴァンデ戦争の勇者たちを称賛した。

そして、フランスから来日したガブリエル・ビルコック神父〔聖ピオ10世会〕が「神授君主制から、聖職者民事基本法・至高存在・市民宗教・ナポレオンの政教条約までの革命期における国家と教会との関係」と題してフランス語で講演を行い、「ガリカニズム」と呼ばれるローマ教皇とフランス王室の結び付きが革命によって断ち切られていく過程を概観した。

さらに、ペレ・ジャン・フランセーズ神父〔イエズス会〕が「文化財破壊と文化遺産概念の発生」と題してフランス語で講演を行い、「文化財」という概念がフランス革命における破壊行為を背景として生まれたことを示した。

最後に、ポール・ド・ラクビビエ氏が主催者を代表して挨拶に立ち、「革命とは自らの内部に潜む傲慢さの表れ」であり、それに立ち向かう「良い意味での生命力」を養うことが必要だと締め括った。

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