旧イタリア王室で当主の継承を巡る争いが表面化〔1月14日〕

イタリアは第二次世界大戦敗戦後の1946年6月に王政を廃止し、サヴォイア家のウンベルト2世は亡命を余儀なくされた。けれども、王政復古を願う国民も少なからず居り、共和国政府はサヴォイア家当主の入国を禁じてきた。2002年、当主であるヴィットーリオ・エマヌエーレ〔ウンベルト2世の王太子〕のイタリア帰国が認められる。だが、帰国の条件が共和国憲法の承認すなわち王政復古の否定であったため、傍系のアオスタ家から強い非難を浴びた。

1月14日(現地時間)、そのヴィットーリオ・エマヌエーレ〔写真左〕が、83歳の誕生日を前にして、来たる3月より、サリカ法に基づく男系男子による当主の継承を定めた現行ルールを改め、長子優先主義による継承を認めることにしたと発表した。これにより、長男であるエマヌエーレ・フィリベルト(47歳)〔写真右〕の長女であるヴィットーリア(16歳)が将来的に当主の地位を継承するものと思われる。

報道によれば、改定の理由として、ヴィットーリオ・エマヌエーレは「特定の状況に置かれた訳でも緊急性を迫られた訳でもなく、王室に属する大多数の賛成によって性別による区別を平等化させた」旨を主張しているが、アオスタ家当主のアメデーオ(76歳)〔イタリア統一を果たしたヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の玄孫〕は、「憲法と立法府の決定を経ない決定は無効であり、立憲君主制を復活させて諮問委員会に諮らぬ限り改定は認められない」などと主張しているとのこと。

なお、ヴィットーリオ・エマヌエーレは非合法事業に関与するなど問題の多い人物であり、今回の決定についても対立するアオスタ家を排除する恣意的なものと見なす意見が少なくないという。

旧イタリア王室における今回の紛擾は、我が国の皇位継承問題を巡る議論において「他山の石」となすべきだ。今後、我が国においても、皇位継承に関する規定を何らかの形で改めることが必要であるけれども、国民の対立を煽ったり、ひいては国体を損なったりすることのないよう、今上陛下の聖慮にかなう公明正大な決定過程を経る必要があろう。〔東山邦守〕

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