台湾に残る日本精神 ― 拳骨拓史氏が千田会で講演〔6月23日〕

6月23日午後、文京区民センターにおいて、拳骨拓史氏の講演『台湾に残る日本精神』が千田会の主催で開催された。講師の拳骨氏は故・名越二荒之助氏に師事したアジア主義者であるが、親族が戦前に台湾で暮らしていたり、幼少の頃から漢学を学んだり、自分の書いた絵に対し蒋経国総統から賞状を貰ったりなど、台湾と深い関わりを有しているという。

この講演は、千田会主催の『歴史巡り&グルメ台湾ツアー』事前勉強会を兼ねていたが、その内容は多岐にわたった。妹が台湾に留学していたこともあり、私にとっても台湾は親近感があるけれども、知らないことばかりだった。

まず、拳骨氏は意識調査の結果を踏まえ、台湾の日本に対する好感度が高いことを示された。特筆すべきは、日本統治時代を知る年配の世代より、20代・30代の若い世代が日本を好きな点である。日台交流協会アンケートによると、台湾が最も親しくするべき国として、かつては中国がトップだったが、近年は日本が中国を上回りトップとなった。こちらも、やはり支持層は20代・30代の若者である。一方、台湾に対する日本人の好感度も高く、行けば行くほど親近感が高まることも指摘された。

とは言え、黒龍会を創設者した内田良平の娘が述べた言葉を引き、両国の関係は台湾が日本に好意を持っているために良好だが、それに胡座をかいてはならず、国際社会の現実を直視し、その次元で台湾という国について考えるべきと警鐘を鳴らされた。

具体的には、香港情勢との関係で考えるべきとのこと。香港デモと台湾が連動しているとは考えが及ばず、私は驚いた。

かつて、中共にとって、香港の経済力は魅力的であり、一国二制度で香港の「中国化」に成功したならば、台湾を中国の領土内に組込むことができると考えた中共は、1981年、中共は台湾に第三次国共合作を持ち掛け、さらに香港モデルより柔軟な(軍隊の保有も含む)一国二制度を提案した。だが、解放政策によって大陸の経済力が強くなってくると香港の重要度が低下し、台湾においても民主化が進んだことで台湾独立派の勢力が拡大し、国民党の影響力は低下しつつある。そうした中で、中共は香港に気を遣う必要がなくなり民主派に対する締め付けを強化している。それに対して、民主派は雨傘運動などの反対活動を展開するも中共は譲る気配は見せない。2019年、「逃亡犯条例改正」に反対するデモが200万人規模に膨れ上がると、香港政府は改正案の提出を撤回したものの廃案は未だに明言していない。香港が遅くとも2047年に中国と完全に一体化することは、中英共同宣言により国際的にも認められている。

香港を呑み込んだ中国が次に狙うのは台湾、そして台湾の次は沖縄さらには日本全体であろう。そうした北東アジア全体の情勢を見ながら、今後とも台湾に関心を持ち続けたい。〔千田会女子部・鈴木久美子〕

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