支那の虚像と実態 ― 東京で昭和12年学会公開研究会〔5月18日〕

5月18日午後、ハロー貸会議室神保町(東京都千代田区)で昭和12年学会公開研究会が開催された。

今回の登壇者は東京国際大学専任講師の緒方哲也氏と愛知県立大学名誉教授の樋泉克夫氏。

緒方氏の演題は「通州事件と阿片問題-通州事件が引き起こされたのは阿片が引き金なのか-」。日本人が被害を受けた重大な事件である通州事件を正当化する一つの理論として、「日本が通州で阿片を売買したため、支那人が怒って事件を起こした」というものがある。この弁護論に対して緒方氏は、約30ほどの通州事件・中国阿片関連書籍をもとに、阿片売買は通州事件との関連がないことを解説。さらには、国民政府や中共も阿片を扱っており、通州事件と阿片問題を結びつけることは、むしろ中国側に不利な証拠を暴き出すことになると結論づけた。

続く樋泉氏の演題は「P・バックと昭和十二年前後の日米中を巡るソフトパワー ―『大地』と『中国=文化と思想』を巡って ― 」。P・バックの小説「大地」を中心に、当時のアメリカに対する中国のソフトパワーを解説。幼少期から人生の大半を中国で過ごしたP・バックは、アメリカでベストセラーとなる「大地」を執筆。それにより「勤勉で従順で信頼できる中国人」といったイメージの形成に大きな役割を果たした。また、清華大学の英語教師であった林語堂(りんごどう)は、同じくアメリカでベストセラーとなる「My country and My people」によって「文化的で明文化された中国像」を抱かせた。日本は、このようなソフトパワーを持ち合わせず、「野蛮で卑怯な日本人像」が増幅されてしまった可能性が高いと結論づけた。

〔昭和12年学会事務局・山田忠弘〕

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