声明からファーブルまで ― 東京と京都で民族文化研究会〔11月3日/25日〕

《民族文化研究会》は、「グローバル化の矛盾として、エスニック・アイデンティティの衰微と暴発が、同時並行的に発生している」情況を踏まえ、「わが国の伝統的な民族文化・民族生活の研究と、世界の諸民族を取り巻く問題」を探求することを目的として、平成二十八年に東京で結成された。

会長は輿石逸貴氏〔弁護士〕、副会長は小野耕資氏〔大アジア研究会会長・里見日本文化学研究所研究員〕、山本直人氏〔東洋大学非常勤講師〕と本誌の金子編集長が顧問を務める。

平成三十年には関西支部も結成され、現在は東京と京都で定期的に研究会を開催している。開催予定は、同研究会のウェブサイトを御確認頂きたい。

葦津珍彦

十一月三日午後、貸会議室オフィスゴコマチ(京都市)にて、関西地区・第7回定例研究会が開催された。

報告者は中村龍一氏と半木糺氏。

中村氏は、「日本音樂を私達の生活に取り戻すために(第四囘)―聲明」と題し、西欧における教会音楽との対比も交えつつ、仏教音楽である声明の概説を試みた。

続いて、半木氏が、「葦津珍彦の国家神道観についての一考察―村上説・島薗説との比較を中心に」と題し、戦後神道界の代表的理論家である葦津珍彦の国家神道観について、「国家神道」概念の提唱者である村上重良や、近年になって独自の国家神道論を展開している島薗進との比較を通して、葦津の国家神道観を分析した。

その後、里見岸雄『天皇とプロレタリア』輪読会を行う。これは、今回で第7回となる。

折しも上洛中の金子編集長に加え、本誌に「歴史と今後を見つめる」を連載中の宮田昌明氏も来会し、活発な議論が交わされた。〔S・A〕

アンリイ・フアブル著/大杉栄訳『昆虫記』

十一月二十五日午後、早稲田奉仕園(東京都新宿区)にて東京地区・第18回定例研究会が開催された。

報告者は山本直人氏と小野耕資氏。

山本氏は、「縄文文化は日本の伝統たりうるか~民族のアイデンティティーをめぐるジレンマ~」と題し、「縄文文化」の近代史上における位置づけを回顧したうえで、皇室や米作といった日本の伝統に対する「縄文文化」の位置付けの難しさを指摘した。

小野氏は「弱肉強食批判と『昆虫記』」と題し、ファーブル『昆虫記』翻訳に賀川豊彦や大杉栄らが関わった歴史を紹介、彼らのなかには弱肉強食・生存競争的世界観への批判と新たな秩序への模索という共通項があり、単純な〈右翼〉〈左翼〉といった思想軸ではくくれない近代批判があると指摘した。〔T・W〕

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