3月15日夕方、学士会館(東京都千代田区)にて第57回国体文化講演会が開催され、宮田昌明氏〔文学博士(京都大学)・里見日本文化学研究所客員研究員〕が「近代日本と満洲」と題して講演した。
まず、宮田氏は清朝時代の満洲を振り返る。同地は満洲族の故地であったが、有力者が清朝の首都とされた北京に移ったために荒廃する。そのため、漢族の移住を認めた結果、20の初頭になると満洲族は少数派となってしまった。
そうした満洲と日本が関わりを持つようになったのは、日清戦争からである。それから満州国の瓦解に至る約50年間の日本の満洲政策を中華民国・ロシア・アメリカの動向なども踏まえながら概観した。
その上で、宮田氏は、日本主導で建国された満州国が目指したものは、①行政機構としての自立、②経済共同体としての自立、③そうした枠組の下における少数民族の権利保護、と概括することができ、それは第二次世界大戦後において西欧諸国の植民地が独立して国民国家を築こうとした動きの先駆的形態として再評価すべきではないかと結んだ。〔金子宗德〕