去る八月二十九日、(人種や性別など)個人の努力では改められぬ属性について罵倒するヘイトスピーチを法的に規制するやう、国連の人種差別撤廃委員会は日本政府に勧告した。それ以前から、安倍首相は「他国を誹謗中傷することで、まるで我々が優れてゐるといふ認識を持つことは間違ひだ。結果として我々自身を辱めてゐる」(平成二十六年五月七日・参議院予算委員会における答弁)とヘイトスピーチに批判的であり、自民党は平沢勝栄議員を座長とするヘイトスピーチ対策プロジェクトチームを設置した。今後、ヘイトスピーチを法的に規制しようとする動きは強化されていくことが予測される。
確かに、人間としての優劣を前提とするが如き言動は肯定できぬ。けれども、母国における生活習慣を固守して日本社会のルールに従ふことが出来ぬ外国人たちに対し、「郷に入れば郷に従へ、さもなくば自らの属する国に帰れ」と云ふことの何が悪いのか。ヘイトスピーチは醜行かもしれぬが、人々をして斯かる所業に走らせるのは、「多文化共生」を掲げる中央政府や地方自治体が外国人に甘いからだ。ヘイトスピーチを法的に規制すれば済む問題ではない。
交通インフラが発達し、経済のグローバル化が進展する今日、国境を越えた人間の移動が活発化するのは歴史的必然だ。しかしながら、野放図に外国人移民を受け入れて良いといふことにはならぬ。先住民たる日本人の平穏な暮らし、ひいては天皇陛下を戴いて二千六百年に亘つて培はれてきた日本国体を護るのが政治の役割である。安倍政権は、新自由主義に基づく現在の外国人活用策を速やかに撤回し、日本国民の共存共栄を第一義とする政策を立案し、実行すべきである。
(金子宗徳)