「道」を破壊しかねない最高裁判決

「国体文化」平成25年10月号 巻頭言

去る九月四日、非嫡出子の相続分を嫡出子の「二分の一」とする民法第九百条四号の規定について、最高裁判所大法廷は十四人の全員一致で「憲法違反」の判決を下した。「生まれた子に罪はない」のは確かであるが、この判決は無視できない問題を孕んでゐる。

この判決では、「祭祀」といふ側面が考慮されてゐないやうだ。明治民法においては、戸主権(家督)を相続した者が戸主財産と共に祭祀財産(祭具や墳墓)を相続することゝされ、財産相続と祭祀継承は不即不離のものとされた。敗戦後の民法改定により、戸主制度は廃止され、財産相続と祭祀継承も別々のものとされたが、現実問題として「祭祀」は誰もが行へるものではない。それは、父母のみならず祖先全般を祀る宗教的行為であると同時に、兄弟・親族との恒常的交際を伴ふ社会的行為でもあるため、正統な後継者として周囲の承認を得られにくい非嫡出子が「祭祀」の継承者となることは困難だ。さうである以上、「二分の一」が妥当であるか否かはともかく、財産相続において何らかの差が生ずるのも已むを得ない。

確かに、男女の性縁を法律によつて統制することは不可能だ。けれども、父母の法的関係性の如何を問ふことなく子の相続権を均等にすることは、法律婚の重みを失はせ、一夫一婦制の崩壊を招きかねない。

皇室においては、大正天皇および昭和天皇は側室を召されず、昭和皇室典範の制定により非嫡出子が皇族となることも否定された。現在においても今上陛下および皇族方は一夫一婦制を御遵守されることにより、国民に夫婦や親子としての「道」を示されてゐるのだ。この御聖旨を無視して、「法の下の平等」を振りかざす最高裁の裁判官は「法匪」といふよりほかにない。
(金子宗德)

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