行き過ぎた開国は亡国への第一歩

「国体文化」平成28年6月号 巻頭言

 北京を訪問した岸田文雄外相は、去る四月三十日に行はれた中共政府の王毅外相との会談で、両国の人的交流を拡大するためとして、何度も両国を行き来する商業関係者や学術研究者を対象とする数次ビザの有効期間を従来の五年を十年に延長すると共に、中共教育部直属の大学に属する者に対する一次ビザの申請手続きを簡素化する措置を実施すると確約した。支那人に対するビザ発給要件は昨年一月に緩和されたばかりであり、いつたい何故かくも支那人を優遇するのか。経済活動や学術交流といふ美名の下、世界各国で支那人がスパイ活動を展開してゐることは周知の事実であり、逆に要件を厳格化しても良いくらゐではないか。

 また、去る三月十一日に開催された内閣府の経済財政諮問会議において、安倍首相は「東京オリンピック・パラリンピックに向けて、我が国の労働市場を活性化する観点からも、問題の所在を明らかにし、外国人材の活用をしっかりと進めていただきたい」と発言した。それに呼応する形で設置された自民党の〈労働力確保に関する特命委員会〉においては、外国人労働者の受入れに関する議論がなされ、これまで禁止されてきた建設作業員など単純労働者の受入れを認めるべきとの答申を提出する見込みといふ。これは、如何に云ひ繕つたところで、実質的な移民受入れ政策であり、短期的な経済的利益のために日本社会の強みである民族的同質性を破壊する所業に他ならない。

 安倍首相は、「日本を取り戻す」と口では云ひつゝも、外国人政策を見る限り日本の弱体化を促進してゐるとしか思へない。財界の意を受けた政官界の一部が主犯だらうが、さうした流れを安倍首相も容認してゐる限り同罪である。いい加減に国民を騙すのは辞めて貰ひたい。
(金子宗徳)

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