ウクライナを巡る国際的対立と我らの覚悟

「国体文化」平成26年4月号 巻頭言

ウクライナの政変を契機として、世界情勢が不安定さを増してゐる。隣国であるロシアのプーチン大統領は、自国の黒海艦隊が停泊するクリミア半島を実質的支配下に置き、ウクライナ領内に居住するロシア系住民の保護を目的とした派兵の構へを崩さない。かうした動きに対してG7諸国(アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本)はロシアを非難する共同声明を発表したが、制裁を辞さずとするアメリカに対し、ドイツは慎重な構へを崩さないなど足並みは揃つてゐない。

安倍晋三首相は、プーチン大統領と何度も会談を重ね、ソチ冬期五輪の開会式にも出席するなど、北方領土問題の解決を見据ゑてロシアとの関係改善を図つてきた。EUの東端・ポーランドの隣に位置するだけでなく中東の有力国・トルコとも黒海を挟んで向き合ひ、大穀倉地帯であると同時にロシアとヨーロッパを結ぶパイプラインが通るウクライナの動向は、欧米および国際金融資本にとつて大きな関心事であらうが、北東アジアに位置する我が国とは直接的な関係がない。それどころか、中共および南北朝鮮といふ反日国家と対峙するにあたり、ロシアは重要な外交カードとなり得る存在だ。その強権主義的傾向とは一線を画しつゝも、アメリカに追随して制裁など行ふべきではあるまい。

ロシアとアメリカの意識がウクライナに集中することは、北東アジアの国際秩序にも間接的な影響を与へる。西村眞悟氏がブログ「時事通信」(三月二日)で警告してゐるやうに中共が朝鮮半島や東シナ海で大規模な攻勢を掛ける危険性は否定できない。中共が尖閣諸島で大規模な軍事的挑発を行つた場合でも、アメリカが我が国を支援せぬ可能性についても意識しておく必要があらう。
(金子宗德)

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