トランプ米大統領はなぜ横田基地から入国したのか

11月5日、アメリカのトランプ大統領が、アジア歴訪の皮切りとして来日した。それじたいは結構なことであるが、アメリカ空軍横田基地から入国したことに違和感を抱いた。

因みに、この横田基地では首都圏の一部空域の航空管制が行はれてゐる。結果として、アメリカの大統領がアメリカ軍の管制する空域を通過してアメリカ軍の基地に着陸し、アメリカ軍の兵士を激励した上で日本に入国するという形となつた。

同基地に駐留中の兵士を激励する日程上の都合と思はれるが、サンフランシスコ講和条約が発効してから65年、未だ我が国が完全な独立国でないと感じたのは筆者だけであらうか。

日本滞在2日目の6日、天皇陛下は皇居の御所でトランプ大統領を御引見あそばされたが、これに先立ち、アメリカ側は事前チェックのためとして警備担当者が御所に立入ることを要求したといふ。

御所は天皇陛下が皇后陛下とともに御生活あそばされてゐる場であり、極めて無礼な要求だ。イギリスを訪問することとなった場合、バッキンガム宮殿についても同様の要求をするのだろうか。

かかる要求に対して外務省は毅然とした態度を貫き、アメリカ側が直前になつて折れたため御引見の実現に至つたものゝ、トランプ大統領周辺の本音が窺へる。

トランプ大統領は我が国に2泊3日したが、ゴルフや会食などにおける安倍首相の気遣ひたるや尋常ではなかつた。

さうした首相の姿を揶揄する報道を見掛けたけれども、覇権主義を剝き出しにする中共や核武装を推進する北朝鮮に対して自力で対応できぬ以上、軍事大国アメリカに追従する以外の現実的選択肢が存在するのか。

実に情けない限りだが、さうなつてしまつたのは何故か。占領が終はつてからも憲法を改正することなく、核武装をも含めた独立国に相応しい国防体制を構築してこなかつたからではないか。

日本国民は安倍首相一人に責を負はせるのではなく、自らの至らなさをこそ反省せねばなるまい。

金子宗德(かねこ・むねのり)里見日本文化学研究所所長/亜細亜大学非常勤講師

関連記事

  1. 大相撲は本当に「国技」と言えるのか?貴乃花親方の「国体観」とは

  2. 新潮45の休刊を招いた「杉田論文問題」が示す、皇位継承の危機とは

  3. 「道」を破壊しかねない最高裁判決

  4. 「神武建国」を堂々と祝ふべし

  5. グローバル化とパンデミック

  6. イギリスの国民投票が意味するもの

  7. 国家戦略特区といふ蟻の一穴

  8. 消費税率引き上げにあたつてなすべきこと

  9. 「日韓合意の歴史的意義」

今月の人気記事

  1. 登録されている記事はございません。




PAGE TOP