グローバル化とパンデミック

「国体文化」(平成26年11月号) 巻頭言

去る八月、厚生労働省は海外渡航歴のない女性がデング熱を発症したと公表した。その後も発症者の存在が相次いで明らかになり、少なくとも百人以上の発症者が報告されてゐる。デング熱は蚊によつて媒介されるウィルス性疾患で、四十度以上の発熱や頭痛や発疹といつた症状を伴ひ、適切な治療を受ければ大半は回復するものゝ、重症者は死に至ることもあるといふ。そも〳〵デング熱は東南アジアの風土病であり、大東亜戦争中に同地からの復員兵を介してウィルスが持ち込まれて流行したことはあつたものゝ、こゝ六十九年間にわたつて国内感染の事例はなかつた。

発症者の多くが訪れた代々木公園ではウィルスに感染した蚊が発見され、大規模な駆除も行はれた。しかしながら、他の場所で感染したと思しき症例もあり、来年以降も発症者が現れるだらう。

それよりも注視すべきは、リベリア・ギニア・シエラレオネの三カ国をはじめ西アフリカ諸国で大流行してゐるエボラ出血熱だ。これもウィルス性の感染症であるが、感染経路に不明な点があるだけでなく治療方法も確立されてゐないため、致死率は五十~八十%と極めて高い。さらに、流行地域の政情は不安定で、感染の拡大に歯止めが掛からぬ情況にある。その上、この三カ国には二万人もの支那人が滞在してをり、帰国した支那人の中には感染が疑はれる者も居るといふ。我が国に飛び火せぬとも限らない。

経済のグローバル化に伴つてヒトの動きが拡大すればする程、感染症のパンデミック(世界流行)の危険性は高まる。グローバル化に伴ふメリットにばかり目を奪はれることなく、そのデメリットにも目を向けることが必要だ。(金子宗徳)

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