1月19日、第9回「尊皇討幕のバイブル『靖献遺言』を読む会」が開催された。
まず第一部として、上野国立博物館で開催中の「出雲と大和」企画展を見学。古代において特別な位置を占めた出雲に発生した青銅器文化などを豊富な遺物から学ぶことができた。続いて、同博物館内で特別公開している高御座と御帳台を拝観。古代より天皇即位の際に使用される調度品を見学することができた。高御座が天皇陛下が使用されるもので、御帳台は皇后陛下が使用されるものである。現在の高御座と御帳台は大正天皇即位の際に製作されたという。
その後、飯田橋に移動し、第二部である『靖献遺言』の輪読。今回から謝枋得編に入る。今回は、より理解を深めるべく、昭和19年に田中卓先生が21歳で書かれた「雪中の松柏」論文を輪読した。宋朝の遺臣がその身を死地に置き、祖国への忠誠を誓う様を生き生きと描き出した田中論文は、昭和19年という切迫した時代に書かれたということもあり、迫力ある筆致で読む者を圧倒したる。また、松下村塾においても謝枋得の漢詩「雪中の松柏」が愛吟されていたことにも触れられている。
次回から謝枋得編の輪読を行う。
《志士の名言:前原一誠編》
◎「座に並み居りし高杉晋作、入江九一、野村和作、寺島忠三郎、伊藤俊輔、品川弥二郎等松陰門下の高足共は孰れも感に打たれて聴惚れて居たが、中にも平生寡黙を以て聞こえし白面痩躯の佐世八十郎(前原一誠)は双眼よりほろ〳〵と玉の如き涙を泛べて只一言『男子の本懐は其処ぢや』と大音声に叫んで一座の者を吃驚させた」
(座にいた高杉晋作、入江九一、野村和作、寺島忠三郎、伊藤博文、品川弥二郎等松陰門下の面々はいずれも「雪中の松柏」に感動し聞きほれていたが、中でも普段は寡黙な優男の前原一誠が涙を浮かべながら「男子の本懐とはこのことだ!」と大声で叫んで一同を驚かせた。)
〔愚泥〕