川面凡児の神道思想 ― 京都で民族文化研究会例会〔8月31日〕

8月31日午後、貸会議室オフィスゴコマチ(京都市)にて、民族文化研究会関西地区第16回定例研究会が開催された。

報告者は、湯原静雄氏。「川面凡児の神道思想 ― 近代ナショナリズムにおける宗教・政治・身体」と題し、川面凡児の神道思想をその身体論・身体技法を中心に検討した。川面は一般的には禊の復興者として知られているが、他にも「振玉」「雄建」「雄詰」「伊吹」「鳥船運動」といった独自の神道行法を創案・実践した。これらは、一定の呼吸法・掛け声・身体動作を反復する形を取っており、一種の体操とも理解されている。このように、川面の神道思想では、身体運動を通した修養を志向する身体論・身体技法が、重要な構成要素となっている。

そして、同時代に目を向けると、ナショナリズムが高揚する時代状況を背景に、同様に身体運動を通した修養を志向する身体論・身体技法が幾つも展開されていた。原理日本社の三井甲之や佐藤通次の身体論、筧克彦の「日本体操(やまとばたらき)」の提唱などが、具体的事例として挙げられる。本報告では、特異な身体論・身体技法をもつ川面の神道思想を検討することによって、こうした同時代の身体論・身体技法を理解するための理論的準拠枠を獲得することが目指された。

続いて、里見岸雄『討論天皇』の輪読を行った。今回も活発な質疑応答がなされ、盛会だった。

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