1月20日、「第一回尊皇倒幕のバイブル、靖献遺言を読む会」を浦安で開催した。
『靖献遺言』は江戸時代の思想家浅見絅斎が著した本で、幕末の維新志士はこぞって読んだという書物である。内容はシナの志士八名の人生及び遺言を取り上げ、その大義に殉じた生き様を顕彰するもの。絅斎は日本の志士で記す願望も持っていたが、幕府政治下ということもあり、弾圧を避けるためにシナの志士を採用したとも言われる。
『靖献遺言』について詳しく解説した、近藤啓吾著『靖献遺言講義』が、この度講談社学術文庫版で復刊されたことを期に同書を輪読することとなった。なお、「最後の漢学者」ともいうべき近藤先生は一昨年惜しくも亡くなられたが、崎門研代表の折本は晩年の近藤先生から『靖献遺言』の講義を受け、謦咳に触れた一人である。
今回は屈平(屈原)について輪読を行った。屈平は春秋戦国時代の楚に生まれた。春秋戦国時代とは言いながら事実上秦が一強時代であった情勢の中で、屈平は秦に対抗すべく王に進言したが、他の家臣の讒言もあり、聞き入れられなかった。祖国が滅亡の危機にさらされているのを見るに忍びず、屈平は汨羅の淵で石を抱いて自死する。
絅斎は、屈平は忠君愛国の真心を持った人物であると評価した。
《志士の名言:屈平編》
◎「明らかに君子に告ぐ、吾れまさに 以て類とならんとす」
(世の君子よ、わたくしは死して忠 臣の模範となろう)
〔小野耕資〕