六月八日十時五十五分、桂宮宜仁親王殿下におかれては薨去あそばされました。
今上陛下の従弟にあたる殿下は昭和六十三年五月に御昏倒されたものゝ、リハビリに励まれて車椅子の助けを借りながら公務を果たされるまで御回復になつたと承つてをりましたが、実に残念でなりません。こゝに、謹んで哀悼の意を表し奉ります。
宜仁親王殿下の薨去により、皇位継承権を有する皇族男子は五名(皇太子殿下・文仁親王殿下・悠仁親王殿下・正仁親王殿下・崇仁親王殿下)となつた。現行の皇室典範に従ふ限り、悠仁親王殿下が御成婚になり、その御夫妻に男子が御誕生あそばされぬかぎり皇統は断絶してしまふ。
加へて、女子を含めた皇族全体の減少といふ問題もある。現在、皇后陛下をはじめ十五名の皇族女子が居られるけれども、うち八名は未婚である。先に高円宮憲仁親王の御次女であられる典子女王と千家国麿氏との御婚約の内定が発表された。実に喜ばしい報せであるが、現行の皇室典範によれば、天皇・皇族以外と御結婚あそばされた皇族女子は皇族の身分を離れねばならない。本年十二月二十九日には佳子内親王殿下が成年を迎へられる。既に成年を迎へられてゐる眞子内親王殿下とも〴〵弟君である悠仁親王殿下を身近でお支へ頂くための仕組みが必要ではなからうか。
安倍首相は男系男子主義を堅持するといふ考へから女性宮家創設を白紙に戻したが、皇室を取り巻く状況の変化に鑑み、皇室の安泰を図るといふ原点に立ち返つて政府案をまとめ、陛下の御内意を頂いた上で皇室典範改正に力を尽くすべきではないか。
(金子宗德)