皇太子妃殿下を苦しめてゐるものは何か?

「国体文化」(平成25年7月号)巻頭言

皇太子殿下ならびに同妃殿下におかせられては、去る六月九日に御成婚二十周年の嘉節を迎へられた。

この日に合はせ、両殿下は宮内庁を通じて御感想を発表された。国民の盛大な祝福を受けて御結婚されてから二十年、両殿下の歩まれた道は必ずしも平坦でなく、妃殿下におかれては現在も病ひに苦しんでをられる。この御感想においても、「……療養が長くなり、ご心配を頂いていることと思いますが、お陰様で、以前と比べ大分元気になったように思います。……体調が思うに任せず、困難な道のりでもありましたが、お医者様の治療を受けながら努力を重ね、少しずつではあっても、公私にわたってできる限りのことをしてまいりました。これからも、お医者様からご助言いただいているように、体調を調えながら、できることから少しずつ時間をかけて活動を広げていき、快復に向けての努力を続けていきたいと考えています。今後とも、長い目で温かく見守っていただければありがたく思います」(仮名遣ひ原文ママ)と述べてをられる。

そもそも、妃殿下の御病気は、鳴門真彦氏が『新潮45』(六月号)で指摘してゐる通り、「皇位継承者たる男子を産めなかつた」ことのトラウマ(精神的外傷)によるものだろう。臣子たるべきもの、妃殿下の辛い御心事を慮り、これから皇族男子に嫁ぐ女性が同様の苦しみを負はれずに済むやう皇位継承制度の見直しを図らねばならぬのではないか。にもかゝはらず、突き付けられた課題を直視することなく、両殿下の「離縁」ひいては皇太子殿下の「退位」を云ひ募り、「長い目で温かく見守っていただければありがたく思います」などと両殿下が口にせざるを得ない情況を作り上げるに至つた手合ひ―とりわけ、「保守」を自認する売文家や報道機関―の罪は極めて重い。

金子宗徳(かねこ・むねのり)里見日本文化学研究所主任研究員

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