安倍首相の靖国神社参拝

「国体文化」平成26年2月号 巻頭言

昨年十二月二十六日、首相就任から満一年目にあたる日を選び、安倍晋三首相が靖国神社に参拝した。この一年間、春秋の例大祭や終戦記念日などの機会を逃してをり、参拝作法も正式な神道方式でないなど不十分な点は残るが、記者団の取材に応じ、「日本のために尊い命を犠牲にされた御英霊に対し、尊崇の念を表し、そして御霊安かれなれと、手を合はせて参りました」と明言したことについては評価したい。

安倍首相の靖国神社参拝に対し、中共や韓国は猛烈に反発してゐる。また、両国との緊張関係を高めかねないとして、アメリカは《disappointed》(=遺憾)の意を示した。しかしながら、中韓両国は従前から我が国を敵視してをり、両国に対する配慮など不要だ。また、アメリカにしても第二次世界大戦に際しては敵国であり、歴史認識において評価が異なつたとしても已むを得ない。

安倍首相は、本殿のみならず鎮霊社にも参拝し、「全ての戦争において、命を落とされた人々のために手を合はせ、御冥福を御祈りをし、そして二度と再び戦争の惨禍によつて人々の苦しむことのない時代をつくるとの決意を込めて、不戦の誓ひを致しました」と述べた。この鎮霊社には、本殿に祀られてゐない内外の戦歿者が祀られてゐる。つまり、戊辰戦争における幕府軍や西南戦争における薩軍のみならず、第二次世界大戦における枢軸国の将兵も祀られてゐるといふことだ。悪事や失策から目を逸らしてはならぬけれども、「持てる国と持たざる国」といふ言葉に象徴される国際秩序の不公正を枢軸国が変革しようとしたことは認めねばならぬ。安倍首相は、単に「不戦」を誓ふばかりでなく、「八紘一宇」の精神に基づく万邦共存共栄の理想を高らかに謳ひ上げるべきであつた。
(金子宗徳)

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