スペイン・カタルーニャ 噴出する民族意識

去る10月1日、スペイン王国のカタルーニャ州において独立の是非を問ふ住民投票が行はれた。中央政府は投票を実力で阻止しようとしたものの、全有権者約534万人の42%強に当たる約226万人が投票し、その92%弱にあたる約202万人が賛成票を投じた。

イベリア半島に位置するスペインは、15世紀後半、アラゴン=カタルーニャ連合王国のフェルナンドとカスティーリャ王国のイザベルが結婚することによつて実質的に成立した。その後、アンダルシアからイスラム教徒を駆逐したばかりか、アブスブルゴ(ハプスブルク)朝時代の16世紀後半にはヨーロッパのみならずアジア・アフリカの沿岸部やアメリカ大陸にも勢力を拡大した。

だが、国家統一を果たしたとは云つても、首都・マドリードを中心とするカスティーリャのほか、サラゴサを中心とするアラゴン、バルセロナを中心とするカタルーニャ、セビリアを中心とするアンダルシア、ビルボ(ビルばオ) を中心とするバスクなど、文化を異にする諸地域に分かれてゐるばかりか、カタルーニャやバスクではカスティーリャ由来のスペイン語と異なる独自の言語が話されてきた。その上、アブスブルゴ朝の終焉に伴ふスペイン継承戦争では、神聖ローマ帝国と組んだカタルーニャはフランスとカスティーリャの連合軍に占領され、ナポレオン支配 が終はつた後の混乱期に起こつた王位継承を巡るカルリスタ戦争でも、カタルーニャは敗北を喫する。また、第一次世界大戦後のフランコ支配下でも、カタルーニャの独自性は否定されてきた。

さうした中でもカタルーニャの人々は民族意識を保ち続け、今や経済面でも大きな力を有してゐる。民族生命体系としての「国体」を実質的に有してゐると云つても良いだらう。さうしたカタルーニャが独立国家といふ新たな「政体」を確立するか否か、「国体」と「政体」を巡る動きとして今後とも注視していきたい。

金子宗德(かねこ・むねのり)里見日本文化学研究所所長/亜細亜大学非常勤講師

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