国立大学付属校における国旗・国歌の取扱ひ

「国体文化」平成27年5月号 巻頭言

 『産経新聞』大阪版(四月二日)に、奈良教育大学付属中学校の入学式・卒業式で十数年間に亘つて国歌が斉唱されて来なかつたといふ記事が掲載された。この記事によれば、式次第には「国歌」ではなく「君が代」と記され、起立を促すアナウンスもなく、校長ら一部を除いて教職員は起立しなかつた。また、卒業生のうち二名が自主的に起立したものの、それまで卒業生が起立した事例はなかつたといふ。

 かつての我が母校(筑波大学付属駒場中・高等学校)は、さらに酷かつた。平成元年に「入学式や卒業式においては、その意義を踏まへ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するやう指導する」と学習指導要領で定められたにもかかはらず、私が高校二年生だつた平成五年の卒業式において漸く国歌「君が代」の伴奏テープが流れた。しかし、国旗「日の丸」は正門に掲げられたのみで、式次第を見ても「国歌」といふ文字がない。起立を促すアナウンスもなされず、声高らかに歌つたのは私のほか数名に過ぎなかつた。

 それから二十有余年、平成十一年八月に国旗・国歌法が制定されたこともあり、現在の我が母校では式次第に「国歌斉唱」の文字が入り、開式に際して起立したまゝ国歌および校歌を斉唱するといふ形式を採つてゐるといふ(濵本悟志副校長)。けれども、国旗については設備がないとして式場には掲げられぬまゝ、教科指導における国旗・国歌の取扱ひについては担当教諭の裁量に委ねられてゐる模様だ。

 国立大学付属校は、教員養成学部に付随する教育研究機関として国民の税金により運営されてゐる。また、地域随一の中等教育機関でもあり、卒業生は社会において中心的役割を担ふことが期待される。そのやうな性格を有する学校における国旗・国歌の取扱ひについては、今後とも厳重な監視が必要だ。
(金子宗德)

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