八紘一宇の世界を建てよう

日本国体学会総裁・法学博士 里見岸雄

『少年読本 八紘一宇 日本国体ガ世界ヲ一家ニスル話』 (昭和十五年十一月・錦正社)より

支那事変の戦争が終わってしまへば、それでもう仕事は片づいた、と思ふ人があるならばそれは甚だしい不心得であります。戦争がすんでも東亜新秩序の建設がすんだわけではないからです。東亜新秩序が立派に出来あがらなければ、日本開闢以来例しなき代議制を払つて数年間に亘り大戦争をした事も水の泡となつてしまふではありませんか。 天皇陛下に対し奉つても亦戦死者の英霊に対しても何として申訳が立ちますか。又、東亜の新秩序が何年かかつて出来あがつても、欧米列強が、この新秩序に心よく思はず、機会があつたら叩いてやらうと待ちかまへてゐたり、又は、白人本位で有色人種をふみつけてゆく組織が依然世界のの大勢であるならば、折角築いた東洋平和も、いつ何時破壊されるかわかりません。だから世界はどうしても一大変革をしなければ正しい世界といはれないのです。常に、利害の為めに争つて、多くの人を殺し合ひ、いくたの物を破壊し消耗せねばならないやうな世界がいつまでもつゞいてゐることは人類の不名誉だといふべきです。

よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ

明治天皇の世界を観そなはす大御心、それはすなはち日本の国体、日本の行動の精神、まことの日本精神です。やがて日本は、四海をうつて皆同胞とする新しい世界秩序建設の主力とならなkればならないのです。そもそも日本は、

八紘一宇すなはち世界中を一軒の家のやうに仲よくさせる偉大な目的を以て、天業を行ふ力として国を建てたのではないか、あゝ、「八紘一宇を掩ふて宇と為さむ」、何といふ雄大な、何といふ崇高な大事業であらうか、世には動物のやうな人類や国家が余りに多い、その中に、二千六百年、否否もつと古くから、毅然として、
 世界の人類を救はねばならぬ、国といふ国、人といふ人に一大平和を与へなければならぬといふ一大誓願を起した国家が、万邦唯一の聖主に率ゐられて厳として地上に実在してゐるのです。三種神器を御覧なさい。
(一) 璽は慶を積むの道を示されたもの、すなはち世界の各国が互に無いものは与へあひ、全人類が兄弟のやうに力をあはせて幸福にしあふ経済の道のことです。世界一家の理想ではありませんか。
(二) 剣は正を養ふの道を示されたもの、すなはち世界の各国が、おのおの自国の利益の為めに他国を攻めたり亡ぼしたりする無道の戦をやめ、互に他国の独立を尊重し、国際間の秩序を正して世界を絶対平和にする。武力といふものはこの世界の平和の為に存すべきものだといふことです。それでこそ世界は一つの正しい法によつて安住出来るのです。世界一法の理想ではありませんか。
(三) 鏡は暉を重ねる道を示されたもの、すなはち世界の各国民、各民族が、英国人は英国人、支那人は支那人、そのほか皆それぞれの民族性を発揮して世界人類の為になる文明文化を創造し互に導き互に啓発しあつて、人類の生活の上に益々暉を重ねてゆくのです。かくして世界は一善に集まるのです。

此れ一言であらはしたのが「八紘一宇」ですが、次の図を見るとよくわかります。
璽──積慶──世界一家(経済)─┐
剣──養正──世界一法(秩序)─┼─八紘一宇
鏡──重暉──世界一善(文化)─┘

八紘一宇を国家の仕事とするのが天業恢弘、天業の主が日本天皇、而してこの転業をさまざまの方面からお扶け申上げる分担者が日本臣民なのです。

わが日本人は、人としてこの世にお現れになつた神におはす天皇を主とし師として仰ぎ、全人類の為めに、国力をあげて世界を道ある世界に建て直さうとするのです。されば、世界の経済、世界の軍事、世界の文化に対して一大変革を与へなければならないのです。永い間、悪道に陥つてゐた世界を救はなければならないのです。これが為にはセ日本をして世界第一の経済力を持てる国たらしめ、世界第一の軍事力を持てる国たらしめ、そして世界第一の文化力を持てる国たらしめなければならないのです。そんな事が出来るでせうか? 出来ますとも。万邦無比の国体を有し世界指導の皇道を伝へ、印度、支那、西洋のあらゆる文化を自己のものとし、世界で最も優秀な体質を持つた日本民族が、万世一系の天皇を奉戴して天皇の御精神の通りに進む限り、必ず出来ます。

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